CAT GETTING OUT OF A BAG

What the tester is thinking.

N's YARD に行ってきた

那須の森の中にある奈良美智さんの私設アートスペース N's YARD に行ってきた。*1

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Thinking Time 2020 Yoshitomo Nara

展示室は room 0 から room 5 の6つ。room 0 には奈良さんの好きなレコードジャケットやミュージシャンの写真やオブジェが展示してあった。こういう音楽やモノたちに囲まれながら奈良さんは生活(創作)しているのね…。受付で展示マップを頂いたときに「room番号はゼロオリジンなのか。なんだかプログラマっぽいな」と思ったんだけど、room 1〜5 とは流れる空気がまったく違う(好きが溢れ出ている)から1ではなく0にしたのはそういうことなんだろう、と思うことにした。

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room 0

奈良さんの絵はなにかに不安や不満を抱いていて(でもそれらの想いを自分の言葉でうまいこと変換できない)どこか挑戦的でもある子供の表情が印象的で可愛い。君が何を想い何を考えているのか知りたいけど、何も聞かずにそっと見守ってあげたいとも思う。

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Tear 2019 Yoshitomo Nara

今回の展示作品の中で特に面白いなと思ったのは『旅する山子』。文字どおり『山子』が全国各地を旅する。room 2 には旅先でのスナップ写真がたくさん展示されていた。

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Traveling Yamako 2019 Yoshitomo Nara
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単純だけど「背景を差し替えることができる」のが面白いのと、そこに吹いている風や湿度や匂いや音が『山子』がいることで、さらに色濃く感じられてすごい。あとぜんぶ同じはずの『山子』の表情が行く先々で違って見えるのが不思議。なんでそう見えるのか考えたんだけど、その背景から物語を(自分勝手に)作り『山子』に投影しているのかもって思った。キャンバスが段ボール(!)なのでいつでもどこにでも行ける自由な『山子』だけど、この作品から軽快さはそれほど感じられない。これを見た人のいろんな想いが『山子』に宿っているような気さえしてくる。

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他にも段ボールを使った作品があった。こちらのギターを弾く女の子なんかは目を細めながら見て「奈良さん amazon で何を買ったんだろう…」と下世話なことまで考えてしまった。

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Guitar girl 2020 Yoshitomo Nara

併設のショップでポストカード*2を1枚購入し、こならカフェで豆乳のカフェオレを飲みながら一休みしたあと、 room 0 からもう一巡した。今年制作した作品も置いてあったので定期的に入れ替わるのかな。次回は room 0 に展示してあった奈良さんの好きなレコードからプレイリストを作って、ロックやパンクを聴きながら鑑賞するのも良いかもしれない。*3

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Miss Forest/Thinker 2016 Yoshitomo Nara

www.nsyard.com

*1:撮影可能な展示品が多くてびっくりしました(フラッシュ使用と動画撮影は不可)。あとから写真を見て楽しむことができるから嬉しい。最近は日本でもそういう流れなの?

*2:娘ちゃんによく似ている女の子のポストカードを買いました。奈良さんの描く子供はどこか娘ちゃんに似ているんだよな。本人もそれは自覚していて彼女は数年前に青森県立美術館(奈良さんの常設展示がある)を訪ねている。

*3:奈良さんセレクトおすすめの3枚!みたいなの、どこかで紹介されてないかな