CAT GETTING OUT OF A BAG

What the tester is thinking.

JaSST東北名物ワークショップを体験して思ったこと #jassttohoku

JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'23 Tohoku にオンサイト参加しました。今回のテーマは『アジャイル開発』です。この記事では、そこで行われたワークショップを体験して思ったことをメモしておきます。ワークショップの詳しい内容については触れないので、参加した方にしかわからない部分もあると思います。

ワークショップの内容(JaSSTのページから転載)

「そもそも、アジャイルってなに?」 そんな方々に、顧客に価値のあるソフトウェアを早く、継続的に提供するアジャイル開発の要件選定を、ユーザーストーリーマッピングという形で体験できるワークショップです。
オンサイトの方はカードを使ったグループワーク、オンラインの方はdiscordの音声チャンネルとmiroを使ったグループワークを予定しています。zoomによるワークのご視聴も可能です。

ワークショップを体験して思ったこと

ワークショップ(以下、ワーク)がはじまったのが16時40分でした。この時点で、川口恭伸さんによる基調講演やアジャイル開発の事例をいくつも聴講し、普段の開発業務では得られない刺激を受け、頭がすごく疲れていました。JaSST東北のワークは頭を使うことがわかっていたので「ここから2時間も無理…」と思っていたのですが、JaSST東北名物のワークと言われるだけあって無理じゃなかった。今回も面白かったです!*1

2回体験できたのがよかった

ユーザーストーリーマッピングは言葉を聞いたことがあるくらいの認識で、今回が初体験でした。だから2回やれたのは大変よかったです。1回目(お題:朝起きてから家をでるまで)で、基本的なやり方をつかめたので、2回目(本番)は開発の内容に集中できました。

このワークが教えてくれたもの

アジャイル開発(乗換案内システム)の要件選定というお題でユーザーストーリーマッピングを体験しました。1チーム4名です。

このワークをとおして起きたさまざまな出来事は、瞬間的に自分の記憶の中に取り込まれますが、短期記憶に入ったものは消えてしまいます。翌日にはさらにいくつか抜け落ち、1週間もたつと鮮明さも失われ、記憶から引き出すことがむずかしくなっていきます。抜け落ちたものが何かを自分で把握することもできないでしょう。でも、チームのみんなで付箋に書いて、貼って、並べて、移動した結果(そのときに撮った写真)を見ると、それが索引となり、自分の記憶を呼び起こすことができます。加えて、写真には記録されていない、チームの雰囲気、メンバーひとりひとりの表情、実際に話したことが音声とともに、ありありと思い出すことができます。それがまた脳を刺激して、忘れていた何かを引き出し、自身の記憶を更新できる。そんなことが身をもって体験できるワークだったと思います。

ユーザーストーリーマッピングは「見た目の派手さ」と「なんかやった感」が印象的ですが*2、このワークで作った付箋(写真)を毎日見直して再考し、記憶を構築し続ける参加者はいないと思うので「見える化しても見ないと意味がない」という事実と「見るということはどういうことだ?」が問われているとも思いました。

他のチームの付箋(成果物)を見学する時間があったのもよかったですね。同じ要件であってもチームの数だけやり方があり、その成果物だけを見ても、それに至った理由や試行錯誤の様子*3 は、同じ部屋にいても、部外者にはまったくわからないのだな、ということを、あらためて実感しました。

今回、同僚のm_sekiと一緒に参加しました。ワークも同じチームです。今後このワークについて話すときには、2台の記憶装置(m_sekiの記憶装置とわたしの記憶装置)を使って、お互いの記憶を交換することができます。すでに記憶が曖昧になっているところもありますし、自分では理解できなかったこと(たとえば、ユーザーストーリーマッピングと計画ゲームの違いなど)について、これから話し合ってみるつもりです。おそらく新しいノードの話(ワークでは話さなかったこと)も出てくるでしょう。チームのメンバーの人数分、記憶装置がある。チームで開発する、チームで補完し合うってこういうことだよね、と思いました。

*1:120分で最大の価値を体感してもらうために、お題の選定や設計も相当工夫されたのでしょうね。しかもハイブリッド対応!さすがだなぁと感心しました。実行委員のみなさま、ありがとうございました。

*2:個人的な感想です

*3:そこが一番面白いところ!