CAT GETTING OUT OF A BAG

What the tester is thinking.

なにがうれしいんだっけ?

先日のテストラジオで「初めてやる機能のテストの話」を聴きながら、そのお題の「自動保存機能」で起きるかもしれない嫌なことを考えていたのですが、そもそもなんで自動保存したいのかな、それを解決できるようになっているのかな、と気になりました。

これは自動保存に関わらずどんな機能でも同じで、仕様どおりに作れたのか?というよりも、作ったことで何がどう変わるのか、何ができるようになったのかということです。要件からブレイクダウンして仕様どおりに作ったのに、まったく役に立たなかったら悲しいですよね。誰も幸せになりません。

◯◯したいの裏側には◯◯できない以外の課題や問題が潜んでいます。開発のはじめの頃はそれをちゃんと意識していたのに、設計や実装やテストといった具体的なフェーズに移ると、だんだんとそれがあたまのすみに追いやられ、結果的にズレていってしまう。わりとよくあるのではないでしょうか。それが悪いことだとは思ってません。きっとそうなりやすい性質があるんだろうな。

なにがうれしいんだっけ?

こんなとき、わたしたちのチームでは誰ともなく「(これを作ると)なにがうれしいんだっけ?」と問いかけます。それまで技術的で熱いディスカッションをしていたみんなの意識を、もともとの課題や問題に急速に戻すことのできる便利なフレーズです。

似たような言葉で『顧客にとっての価値』がありますが、そんな言葉を普段の会話の中で使うと「また難しいことを言いやがったな…」と身構えてしまう人もいるので(わたしです)気をつけてください。


自動保存の例ですと、こんな課題や問題が潜んでいるかもしれません。

  • 保存操作が面倒くさい
  • 入力中に別の用事で席を外して戻るとタイムアウトになって入力し直しになる
  • 入力項目がめちゃくちゃ多くて保存にいくまでが大変
  • 仮保存したい
  • うっかり保存しないで終わりにしてしまうことがある
  • 書いてる途中、ごく稀にだがアプリケーションがクラッシュする
  • 書いてる途中の履歴も取っておきたい
  • ほんとうは版管理したい

完璧な自動保存機能を作っても、解決しないものがありますね。